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なーお さんの日記

 
2006
10月 31
(火)
21:25
[Audio] JSP方式低音増強の考察
本文

久々のオーディオネタです。
下記JSP研究所の 「歪まない重低音のスピーカー」 のページを読んでみてください。
JSP研究所のページ

 まだその音を聴いたことは無いのですが、低音の増強/伸延効果があるらしく、 JSP研究所のサイトと、 集まれ塩ビ管スピーカー  のサイトに、自作された方の作例が報告されています。
 私の好みとして「軽くて深い低音」「軽くて速くて深い低音」(061102加筆)を追い求めていまして、 だからこそ最近「3D-SPIRALホーン」にこだわってきたのですが、 ここにJSP方式という新たな興味が加わりまして、 その動作を直感的に考察しています。 今日はその内容を書き留めておきたいと思います。 読まれた方の感想をお待ちしています。

【前置き】
 まず、この記事は、JSP方式の低音増強の原理(?) を私が勝手気ままに推測したものです。 全くの妄想に過ぎないかもしれませんし、完全な的外れかもしれません、ご容赦ください。

[推測1]
 JSP研究所のページを見ると、その最大の特徴は ユニットの周囲に同心円状に配置された複数のバスレフポートだと考えます。 この同心円状のダクトからの空気輻射が、ユニット前面の空気と連動して共振することで、低域の増強/伸延に結びついているのかと思います。

[推測2]
 一般的に、バスレフポートをユニット近くに置いたからといって、低域を増強させたり延ばしたりすることは難しいと思います。 それどころか、バスレフポートの共振周波数より下では、ユニットとポートの間での空振りが早めに訪れて低域が急降下することもありそうです。
 JSP方式のように同心円上にダクトを配置することで、これとは違う何らかの作用があるのかもしれません。 例えば、ユニットに対して2つのポートを直線状に対峙する位置に設ける場合を想定すると、反対側のポートの振動が、空振りの際の空気の流れを抑える方向に作用するであろうことは、容易に想像できます。 その状態はすなわち、ユニットとポート前面の空気が同期して共振している状態と考えられます。 更に90°間隔で4本のポートを配置することで、その効果は高まると思われます。

 ポート前面の空気が(実際にはその空気の質量が) ポート内の空気と同期して共振すれば、その時の振動周波数は下がります。 下記バスレフポート共振周波数計算式で ポート面積Sと空気室内容積Vは変わらず、ポート長Lが大きくなったことと等しい効果です。
 ★ Fd=160√(S/(V*L)) ・・[1] 
   (実際にはLに実効ポート半径rなどが加算され
    ますがここでは省略)

[推測3] 
 ポート前方の空気の同期共振する質量と共振周波数の伸びの関係を、上記計算式 [1] から計算してみます。  まず、[1] 式から定数およびポート面積Sを一定として下記  [2] 式を考えます。

 ★ 1/√(V0*L0) ・・[2]

 ここで、 仮に JSP方式でポート前方の同期共振空気質量が、ポート内空気質量の3倍と仮定して考えるとすると、[2] 式
 
1/√(V0*(3L0+L0))=1/[2√(V0*L0)]   ・・[3]
      ・・共振周波数が1/2まで伸びます。
 (実際に3倍もの空気質量が同期共振する状態があるかどうかはわかりません。)


[推測4]
 次に、 空気室内容積とダクト長を変えて、ポート共振周波数を同一にした場合に、 [2] 式の状態はどうなるかを考えます。

 まず 、空気室内容積を2倍にして、同じ共振周波数を得ようとすると、ダクト長は1/2で良いことになります。
  V0→V1=2V0
 ★ 1/√(V1*L1)=1/√((2V0)*(L0/2)) ・・・[4]

 続いて この[4] 式でJSP方式で [推測3]と同じ質量が同期共振するとすれば、

 ★ 1/√((2V0)*(3L0+L0/2)) =1/√(7(V0*L0))
  =1/[2.64√(V0*L0)]            ・・・[5]
   ・・共振周波数が1/2.64まで伸びます。

  この結果、同じポート共振周波数ならば 空気室内容積が大きいほど、 JSP方式による低域伸延効果が高まるということになると考えられます。


【まとめ】

 あくまで推測の積み重ねで考察してきましたが、直感的にこのような効果はありそうに思っています。 どうでしょうか。

 ☆☆ ここまで考えると、作ってみたくなりますねえ。

 

**061101 追記
 この推測は、バッフル前面の空気がダクトと同期共振する、という考え方なんですが、 どうも 「バッフル形状が正方形や円形でないと効果が出ない」 ということが引っかかりまして、 もしかしたら 「空気室内の空気の一部が、同期共振しているんではないか?」 などと考え始めています。 空気室内の空気が分割振動してるんかいな。。


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コメント一覧

投稿ツリー


ワタヤン   投稿日時 2006/11/1 13:17
JSP方式というのですか・・興味深いですね。これからいろいろな人が検証されると思いますが、個人的にはフロントバッフルが大きくなってしまうのがちょっと気になります。(見かけの問題ですが・・)四角なら4辺にスリットバスレフというのはどうでしょうか?
6角形とか8角形とかもできそうです。
なーお  投稿日時 2006/11/1 16:30
ワタヤンさん
なるほど、スリットバスレフで行ければ良いですね。 ただ、正方形でなければいけないようなので、奥行きが深くなりそうです。
ワタヤン   投稿日時 2006/11/2 12:14
スピーカユニット中心から複数のダクトまでの距離が等しくないと効果が出ないということなんでしょうか?
もしそうだとしたら、BOX内の作りだけではなくて、バッフル前面の空間でも特定の帯域を強めるような干渉が起こるのでしょうかね?
なーお  投稿日時 2006/11/4 20:53
ワタヤンさん
私の考察ではバッフル前面の空気の同期共振というものですが、どうもそれだけでは無く、内部でも何らかの現象が起こっているように思いはじめています。 (本文に追記した内容)
kage   投稿日時 2006/11/14 20:34
初めまして。大変興味深い考察で勉強になります。理論的なことはよくわかりませんが、何度か視聴させていただき、申し分のない鳴り方でしたので、JSP-1020WAを購入して使用しています。
JSP方式の肝は既成概念を超越したダクト構成に目を奪われがちですが、スピーカー径と内部容量とバッフル面積の3者関係にも何か方程式があるように考えております。
またダクトの配置は、スピーカーを中心として「全方位」に対してシンメトリックでなければJSP方式を実現できないような印象を持っており、スリットバスレフを実験されるのであれば、左右だけでなく上下にも配置するよう工夫が必要だろうと思います。
なーお  投稿日時 2006/11/15 8:07
kageさん、こんにちは。
JSPスピーカーの製品をご使用中とのことで、参考になります。
「「全方位」に対してシンメトリック」というのがポイントですね。
また、JSPサイトでは「ダクトは円筒で」という言葉が追記されていますので、スリットバスレフでは何らかのデメリットがありそうです。
kage   投稿日時 2006/11/15 11:25
なーおさん、コメントありがとうございます。JSPスピーカーを使い始めて約5ヶ月ですが、最近は低音のブーストよりも、foのダウンアシストのほうがJSP方式の本質ではないかと感じています。
JSPサイトではユニットのfoよりもさらに低い帯域までカバーするとアナウンスされていますが、小音量再生が常用のためか、その帯域の音がダクトから発せられている印象は薄く、むしろスピーカーユニット本体から発せられている印象のほうが支配的です。
これは全方位に対してシンメトリックに配置したダクトが、スピーカーのピストン運動をボイスコイルの真芯で動作させる効果につながり、またボックスの内部容量とダクト長の関係が、ピストン運動の稼動長を延長する効果となり、これらの相乗効果によって理想的なピストン運動環境を作り出し、結果としてfoが下がっているのではないかと妄想しています。
ダクトでブーストしたような低音ではありませんので、自作や製品版を問わず試してみる価値はあると思いますよ。(長文失礼)
なーお  投稿日時 2006/11/15 12:57
kageさんこんにちは。
JSP方式も試してみたいし、takenakaさんの3D-スパイラルの最近の角型ダクト式もやってみたいです。(ユーザー視聴記で評判がいい) うーん。。
白坂   投稿日時 2007/10/11 10:32
私見で失礼ですが、JSP方式はバスレフ型であり、効果は少ないはずだがポートを4本にしてポート共鳴音をSP中央に多く届ける方式と思います。
このことよりも箱の容積を大きくしてバスレフ共鳴音圧を上げ、さらに奥行きを長くしてバスレフ共鳴以下の音圧低下を改善する効果が大きいと思います。大型のバスレフ型と思えます。
なーお  投稿日時 2007/10/11 13:00
白坂さん、こんにちは。

うーん、私も聞いてみたわけではないのであんとも。。 なるほど大型のバスレフでは共振周波数以下の降下がなだらかですか。 しかし皆さんの意見を聞くと、それだけでは説明できない、何かがありそうです。

今度の塩ビ管オフ会で、純正のJSP方式を聴けそうなので、楽しみです。
白坂   投稿日時 2010/10/25 14:11

 業界には同容積箱の密閉型よりバスレフ型の方がなぜ低音が出るか?について明確な説明が無いのが疑問でした。
 密閉型ではスピーカーのバネ(コンプライアンス)と箱のバネが直列になるのでバネが硬くなりFoが上昇します。
 対するバスレフ型はダクトと箱のヘルムホルツ共振を利用するのでスピーカーのバネの影響と無関係に任意共振周波数を選べます。 
 ただし、理想バスレフ理論はスピーカー口径とダクト口径が同じで振動板重量とダクト体積x(空気密度1.2g/L)が同じ条件でなりたつようです。
 小型化の流れでダクトを小さくし低音が少ないのが一般的になりました。
 JSP方式は理想バスレフ型にそっくりです。
ただバスレフ共振を制動するのにダクトを4本にして抵抗を増やしている。
 大きいダクトを内臓するのに箱が大きくなり、小型化に逆行しますが気にしない人には理想方式と思います。
 私も密閉箱の上か下に飛び出した巨大理想ダクトを設ける昔の方式に挑戦するつもりでいます。



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