趣味のはなし : オーディオスピーカー自作 06/07/14 updated
3D-スパイラルリンク
音の実験室:自作バックロードホーン・スピーカー :ご本家 Takenakaさんのサイト
☆Helix H75 の製作?視聴 :Akkieさんのサイト
自作3Dスパイラルスピーカー製作記 :くまさんのサイト
自作スピーカーリンク
06/07/14 wrote:
☆ 2006/08/18追記:(一部の方よりご質問がありましたので、この場で弁明させていただきます。) FE88ES-Rは一般的にもメーカー公称も口径「8.5cm」となっています。今回のstereo誌コンテストへの応募にあたり、当初3D-subakoは規定外と思っていたのですが、stereo誌編集部へ電話で確認し、「公称口径はメーカーによっても測定方法が異なることもあり、FE88ES-Rは規定内とします。」との返答を得ています。 /modules/dblog1/details.php?bid=56
また、昨年まで連続してグランプリを受賞されていた石田様も同様に確認されたようですが、ご自身で多数個所有されていなかたそうで、ご遠慮されたとご自身のブログに書き込みをされていました。
上記弁明がHP上に不足していましたこと、お詫びいたします。
?2004 年の構成(Super-Swan-Kai)は、こちら
3D-ELBOW-R の音は、音質・低音の音圧レベルとも ほぼ満足すべきところまで来ていたのですが、人間欲深いというか耳が慣れてしまったというか、特にジャズを聴いた時などもっと低い音程までしっかり出て欲 しいと、すぐに思ってしまいました。
3D-ELBOW-Rの現状でも50Hzくらい迄は出ていますが、それから下はダクト面積の大きなバスレフの特性で音圧がストンと落ちており、テ スト信号CDをかけると30?40Hzあたりは2次高調波歪しか出て来ません。 もちろん20?25Hzでは空気が震えていることすら感じないほどに低レベルです。 でもコーン紙は盛大に動いていますし、指で触れるとかなりの駆動力があるのがわかり、ホーンを工夫すればもっと出るのではないかと思いました。頭頂部4枚+箱部分(バッフル・側板・底板)4枚 x 左右各1組 + 送料込みで、19,500円でした。 ただ、途中こ んな行き違いもありました。(笑) 側面図を書かなかった私もいけませんでした。
スパイラル管径200mmは、私の知る限りでは現時点で最大級です。径を大きくして管長を短くし、BH動作を高めることとホーン開口をユニットから離さずコンパクトな良好な音像定位を狙います。
←当時の姿。 まさに木の幹に建て付けた巣箱。
頭頂部のR加工がもう一息ですが、後日仕上げ塗装の際にきちんとする予定。 接着剤はスキマ充填的な使い方のため、エポキシの5分タイプで 実施。
空気室内部に、メレンゲ状の中高域拡散部品を入れてあります。
VP200塩ビ管の3D-スパイラルホーン出口の下に、MAKIZOUクラフトさん が勘違いで作った円形部品を組み合わせたディフューザーを作りまし た。 これを置くと、150?300Hz付近の共鳴音が耳につきにくくなります。
ここまできても、まだ道のり半ばというところでした。 それは、3D-スパイラルの特徴である「中域の輻射」「強めの気柱共鳴」が耳についたからでして、そのネガ取りに相当な労力を割くことになりました。
下部のディフューザーは、最初はこの画像のように、シリコンシーラントを盛り付ける形で模索していました。
これはL側のスピーカーのスパイラル出口を撮影したものでして、下から見上げたとき螺旋音道はCCW(左回転)で降りてくる構造です。 丁度ユニットの 180度裏側辺りが螺旋仕切りの末端でして(画像の○印の奥)、そこからディフューザーで導くように空気の流れを作るものです。
これでわかったことは、
1、円周長を有効に活用した音圧分配
ヒラベッタ型の3D?スパイラルホーンは、ホーン出口の音圧方向が、Takenaka氏オリジナル設計よりも円周方向に残っている。 オリジナル設計は細めの管で出口のベクトルは開口部方向にかなり向けてあるものが多く、おそらく出口方向に向いているほど出てくる音圧はよりダイレクトに向かってくるでしょう。
一方、平べった型では逆に円周方向成分が多く残っていますので、そのまま筒の中を周りながら降りてきます。 (もちろん、筒はここで切れていますから、切れ目から外へ飛び出そうともします) まずはこの円周方向の音圧成分を利用します。
2、開口寸法の最適化
上記音圧分配は、ただ開口があるだけでは そこから一気に抜けてしまって、分散効果があまり得られません。
今回の試みとして、仕切り端の所で開口幅を一旦狭めた上で徐々に広げてゆき、一周する頃にまたすぼめる、という寸法設計にトライしてみました。 元々スパイラル開口部の面積は大きすぎるくらいに十分ですから、このようにスパイラル中心付近を狭めていっても十分な開口面積が取れます。 勿論あまり絞りすぎると詰まった音になりますが、ホーン出口面積より総面積を広げていく分には大丈夫です。
こうして開口寸法をコントロールすることで、音圧分配が中域から中低域、低域にかけて割と均一に行われるようです。 気柱共鳴の聴感上の「ちらし」効果に加えて、低域の量感向上にも寄与しています。
しかし、その後いろいろ実験しましたが、どうしてもピアノの高域の共鳴と、サックスやギターの中域のこもりが改善されず、行き詰ってしまいました。 毎日、思うようにいかずに暗い表情だったり、家族に優しくできなかったり・・
でもあるとき、天の声が頭の中でささやきました。「左右を入れ替えてみたら?・・」
これがビンゴ! 一発逆転でとても良い結果をもたらしてくれたのです。 左右を入れ替えてスパイラルを伸延し、渦巻きは前から斜め後方にベクトルが変わります。 ここで横向き開口。
周波数が高いほど直進性が高い性質を利用し、中高域はスパイラルの外径に添って降りてきて、横から斜め後方に分散放射されますので直接耳に入りませんが、中低域から低域は横から放射状に前方に回り込んで広がるので、十分な音圧を得ることができます。
←これはディフューザーの板取りです。6種類7枚x左右分の寸法の異なる部品を間違いなく切り出すために、今回は型紙を作り転写する方法で板取りしました。 型紙を裏返せばミラーイメージになるわけです。 板取設計図なしでもできますし(笑)。ただし、図面が残らないという致命的な欠点が・・ そんなわけでここに掲載できずにいます。
板の材質は25mm厚シナランバー材。コアにはパイン材(松)が使われています。 SPボックス本体ではないので、音質に与える影響が少ないと考えて少々安価な材料にしました。 それに25mm厚であれば、重ねる枚数も少なくてすむので積層工法に向いています。
ケーブルの通し場所に苦労しました。 少々使い勝手が悪いです。
木の部分は、ペーパーで仕上げて水性クリアニスを3回塗り。 スパイラルの塩ビ管外面は、「巣箱」としての見栄えに近づけるために、それらしい色調の壁紙を貼りました。
使用マイク:Behringer ECM-8000
今まではWaveSpectraでの簡易測定でしたが、今回より元信号とのリアルタイム比較を行いながら測定するソフトでの結果を掲載することにします。
これまでより低域レベルがダウンしていますが、ルームゲインを差し引いても、中高域の干渉防止に気を遣った割には良く出ているのではないかと思います。 中域は努力の甲斐あってだいぶフラットになりました。
MySpeakerでのサイン波スイープでの測定グラフ
MySpeakerでのピンクノイズでの測定グラフ
SpeakerWorkshopでのクロマティックノイズでの測定グラフ(100Hzの山は不明)
060713 Takenakaさん宅を再訪問しました。その際の測定グラフはここにあります。
中高域のレベルが合っていないので、実際にはH88よりsubakoのほうがもう少し低域レベルが高そうです。
まずは高能率で実に情報量が多くて且つ立ち上がりの早いすっきりした音になりました。 ロボット君の時から比べ、2皮以上むけた印象で、小音量でも音像とニュアンスが表現されています。 ステージ奥の鈴の音の揺れる感じや、フルートの音階による音の震え方の違いとか。 ケイコ・リーの「イマジン」ではボーカルの口の形が発音の度に変化するのがわかり、こちらも思わず発音練習をしてしまうほど。 ユニットが優秀なこともありますが、これがシナアピトン合板材の箱の効果か。 これなら高くてもこっちを買う人が多いのもうなずけます。 中高域の透明感を一番に欲する私としては、これはかなり得点が高いです。 (もちろん低域も音楽としては重要ですが)
弦がきれいでヨーヨー・マのチェロ独奏などでは、弦の震える感じや胴鳴きも眼前に広がります。低域はだら下がりながら、35Hz まで伸びてそこから急降下という特性です。マーカス・ミラーのベースの迫力もそこそこ出ますし、バスドラやスネアも大変バランス良く、多少ゆったりめですが良く届いてきます。
ダクトからの中域輻射量は相変わらず多く、音に厚みを付加しているほか、ディフューザの効果により空気室は吸音材無しで、耳に付くような共鳴音はかなり押さえられ、音質劣化を最小限にできました。特に中低域は音源ソースの音質を良く再現してくれていると思います。
総括として、全てに渡って音の鮮度と重低域の伸び、そしてトータルバランスでも以前メインで使っていたSuper-Swan-Kaiの追従を許さないレベルになったと思います。 スケール感では一歩及びませんが。 なお、CDプレーヤーがさすがにチープに聞こえてきてしまったので、最近中古でDAコンバーター(Accuphase DC-61)を購入し、パソコンからのデジタルパススルーを利用したMusicサーバーも構成しました。
測定
1枚目が2mステレオ、2枚目が 1m軸上モノラルです。 1mでみると、ダクト共振周波数が計算どおりに42Hz程度であることがわかりました。 「バックロードの低域に、バスレフの重 低域を繋げた音」の狙い通りの聞き易い音。
音の印象
前作3D-ELBOW-Rとの音の比較で以下のような長所/短所があります。
【長所】
1、低音の伸び
音圧は低いですが、前作では「すかすか」で全く出ていなかった40Hz付近も出ています。クラシックやジャズを聴くと、音の下支え感があって、安心して 聞けます。
2、中低域の暴れの減少
中低域のつながりが滑らかになって、聞きやすくなりました。 100Hz付近はバックロードホーンの音に近いです。 けれども、ブーストされたような歪 み感は相当少ないです。 スパイラルホーンの低音は、本当に聞き易い音です。
3、中高音の歪み感の減少
前作では空気室の共振など耳に付くため吸音材をかなり入れていましたが、今回は頭部を25mm厚の「ひば」端材で組んだことと、ユニット背後にパイプの 筒があって音を拡散してくれるため、吸音材なしでもイヤな音が少ないです。
まだバッフル面の面取りもしていないのですが、ユニットを面の中心から少しオフセットしたのも、反射周波数を分散する効果が多少あるのかもしれません。
【短所】
1、音がソフトになった
中高音だけでなく、ホーンロードがかなりかかっているので、低音がソフトになりました。 聞き易いのはよいですが、ティンパニやスネアのアタック感は減 退しました。
2、解像度はバッフルが大きめのせいか、少し減退しました。
3、音の遅れ感
今のところは、バックロードホーンにありがちな、低音が一テンポ遅れる感じはほとんどありません。
4、大きさ
本体だけで、W270 x H360 x D320mm あります。 スタンドを作るともっと高くなる。 一般的なバックロードホーンは幅が狭いのでスペースの有効活用ができますが、これは幅を取 ります。 その分開口部がユニットに近いので音像はコンパクトですが・・
CD Player | DENON DCD-1515AL(トランスポートとして使用) |
Music Server PC | Celleron667MHz 128Mb-mem 160GB-HDD(自作の遊休品) Onkyo SE-90PCI Audio Board |
DA Processor | Accuphase DC-61 |
Tuner | SONY ST-S500 |
AMP | MARANTZ PM-14SA ver.2 |
Speaker (main) |
Fostex FE88ES-R + 3D-subako (by 3D-Spiral) |
Speaker (sub) |
Fostex 6N-FE88ES + 3D-ELBOW -R(by 3D-Spiral) & Fostex 6N-FE108-Super + Super-Swan-kai |
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