音の実験室:自作バックロードホーン・スピーカー :ご本家 Takenakaさんのサイト
☆Helix H75 の製作?視聴 :Akkieさんのサイト
自作3Dスパイラルスピーカー製作記 :くまさんのサイト
05/12/8 wrote: ご本家、Takenakaさんのお宅におじゃましました。 F特の測定結果はこちらです。
05/10/28 wrote:
本年春に仕事を変わって妻実家へ引越し、秋の新居の完成に合せてそろそろオーディオ環境も一新したいなあ・・まずは音が出なくなってきたAMPを替えた いなあ・・と考えてネットを彷徨っていたとき、何やら「3D?スパイラルホーン」という、米国特許を取得した新しい方式のスピーカーが存在するということ を知りました。
詳しくは、上記リンクのご本家のT氏のページ をじっくりご覧いただければと思います。
(隅から隅まで読破するのに、数日かかるほどの情報量です。)
僭越ながら私の解釈で要約すると、Qの高めの小口径スピーカーの低域の増強・伸延効果が著しく、しかし中域の音質には悪影響を与えず、理論は一部従 来のバスレフやバックロードの融合・発展系であるものの、出てくる結果はそれらでは説明できない、すばらしい効果が期待できるエンクロージャ形式であるよ うです。
長い間、長岡鉄男さんの「Super-swan」をアレンジした、球形頭部「Super-swan-kai」に最新の「FE108EΣ」を組み合わせて使用し てきたのですが、これもすばらしい音がしていたものの、やはりメリットがあればデメリットもあるわけで、そろそろ「もっと透明感があって、音の一体感のあ るフルレンジスピーカー」を作ってみたいと思っていたところでした。
AMPに透明度の高い音のMarantzのPM-14SA-Ver2をアキバで在庫セール(?)で安価に購入し、いよいよ3D?スパイラルスピー カー製作に挑戦です。
- 学 習機(05/10/07)
いきなり本機製作はリスクが高そうなので、まずはスパイラルの製作に慣れるという目的もあって、H-75のアレンジ版を1set製作して みました。
基本は本家HPのH-75とし、妻の家事コーナーに置くために奥行きを薄くし、そのためH-75の側面にユニットを取り付けたような格好 になっています。 仕上げも未だで大変恥ずかしいのですが、載せちゃいます(笑)
スパイラルの製作は、本家オリジナルの平型キャプタイヤを巻く方式でトライ。 巻き始めと巻き終わりが難しい。 出来たスパイラルを見る と、左右2本で広がり方が違ってしまいました。 まあ学習機だからよしとするか。
当初購入したユニット「六本木工学研究所(TangBand製造)」のW3-593SDで低域の伸びと質感を確認し、「おーっ」と感激。 ただ中高域が満足できる音でなかったので、10年以上前に購入して車載用として一時期使っていて取り外してあった、往年の「FE83」に交換してみまし た。 いやあ、やはりこのユニットは只者ではありませんね。小音量でも綺麗なボーカル、フルートなど、低音の量感は落ちましたが、聞きほれてしまいまし た。 そして、3Dスパイラルホーン出口からの中音の質の良さを確認でき、低音だけでなく、トータルのこの方式の良さを実感しました。
05/11/2 箱の面取り加工を行い、写真を妻 コーナーのものに差し替えました。
- 待 望の新宅事務 室用に新作スパイラル「3D-ELBOW」を製作(05/10/28)
さてさて、いよいよ本題、いや本機製作です。
使用ユニットは、FOSTEXの限定発売の「FE88ES-R」を購入 してみようと考えていましたが、手元に車載用で過去に使って外してあった、「6N-FE88ES」 があったので、まずはこれでやってみようと考えました。
ただし、このユニットはバックロードホーン向きでQが0.31と低い(オーバーダンピング)ため、3D-スパイラルの通常の設計では低音不足になると予 想できま す。(3D-スパイラルは本家HPでもQの高いユニットで効果が高いとの情報があります。)
そこで、Qの低いユニット向けの設計トライとして、ダクト断面積をかなり大きくとり、バックロード的に背圧にロードを十分にかける設計を 行ってみました。 ↓は「3D-ELBOW」と名づけたエンクロージャの基本設計書ですが、詳細は製作段階で少々変更し、スロート(ダクト)入口高さは 3cm程度になっています。
設計上の要点は、
- Qの低さによる低域不足を補えるだけのダクト断面積の確保
一般的なバスレフやバックロードホーンでこれをやってしまうと、ダクトの共振周波数やホーンの共鳴管共振周波数周辺だけピークで盛り上がったり、質の悪 い中音が漏れてきてバランスが崩れてしまうのですが、3D-スパイラルでは学習機でそのダクトからの放射周波数の広さと中音の音質劣化の少なさを確認済み でしたので、思い切って大きくとりました。
- 空気室とスパイラルダクトの形状
VP150という太い管を双方に使って、平行平面を無くすために45°カットして接合する方法としました。 これでダクトから漏れ放射される中音の、 「共鳴音」を極力減らすことができます。
- 太いらせん1条より、やや細めのらせん2条に
180°位相をずらした音道を組み合わせます(本家HPの 岩浪氏の製作記事を参考にさせていただきました)。 こうすることで、音道の高さが半分になって、fdも下がります。 結果として、1条の時よりユニット 位置とダクト出口開口部との距離を短くできるような気がしたんで、そうしました。 本当のところは、どうなのかな・・ スパイラルのらせん材の厚みにもよ ると思いますけどね・・
それから、スパイラルの製作精度が低いとき、音道が2つあればそれを補う方向に行くような・・そうなると良いな、という希望も込めて・・ (普通のバ スレフでfdを変えたダクトを2本付けても、fdの高いほうで低域限界は決まってしまいます。 けれども3D?スパイラルでは低域の伸びがあるので、案外 大丈夫なのではないか、と思っています。)
デメリットは、当然らせんの条数が増えることと、(説明が難しいですが・・)音道の太さに対して直進性が大きくなることから、スパイラルのメリットが減 りやしないか、ということです。 まあ、失敗を恐れずに作ってみればわかりますよね。
スパイラルの製作で、VP150用の太いスパイラルを作るため、前回採用したキャプタイヤ法では巻き上げるまでが大変です。 よって今回 は (本家HPの須賀 氏の製作記事を参考にさせていただき)発泡ポリエチレンテープ法を試してみました。 10mm厚のすきまテープを7本重ねて巻くことになります。
確かに巻き上げるのは楽ですが、実は失敗してらせんを音道の直角に作れませんでした。 すきまテープを決して「引っ張ってはだめ」です。 内側に少し 「ひだ」が残るくらいに、「置いてゆく」感じで巻いてゆくのがポイントですね。 巻いている途中で気づきましたが、時間もなくてそのまま行ってしまいまし た。
また、最後の1本を巻く前に、巻き上がった部分を一旦エポキシで固めておいてから、残りの1条を巻いて管に挿入してみて状態を見るようにした方が良いで すね。
今回この方法を試した後の感想としては、キャプタイヤで3本くらい重ねて作ったあとに、スキマテープを巻いてゆく 融合法が良いのかも? なんて考えて います。
VP150という太くて厚い塩ビパイプは通常のホームセンターでは手に入りませんので、配管工事業者の人に頼んで売っていただきました。 定尺の4mでの購入となります。 (実は、VP200も4m買ってしまいました。 後述の次期エンクロージャで使用予定・・)
そして難関の、45°カット! パソコンでVP150の外径に合せたサインカーブの数値を計算し、それを元に新聞広告にプロットし、型紙を作ります。 その型紙をパイプに巻きつけてマジックでなぞっておいてから、金のこで切断です。 やってみるとわかりますが、サインカーブの弧がきついところからでな く、直線に近い部分から切り込み始めるほうが、切断精度を保ちやすいですね。
切り終わったところです。 かぐや姫が4人出てきそうな・・(笑)
バッフルの加工と、内部の様子です。 バッフルはユニットをM4爪ナットとボルトで固定するためにこの部分は斜め加工できませんが、その 他の部分は内側を斜めに切り広げて音の通り道を確保します。
吸音材として、カーボンハットを切り裂いたものを少し入れました。
いよいよ完成! 接着には全てエポキシ系接着剤を使いました。 バッフルを取り外し式にしなかったのは、何となくこの構造では空気漏れの心配があったか らです。
05/11/2 バッフル面の球面加工とスタンド製 作を行い、写真を差し替えました。
いよいよ試聴です!
実は新居の一室は仕事の事務室を兼用していまして、このように幅の狭い入り口を有効活用する格好でスピーカーを置くことになってしまいました。 上部に は大きな棚があるし、幅も狭いので定在派も結構あります。 でも何より 低域の特性が、中低音が思いっきり盛り上がった特性になってしまう部屋のようで、 従来から使っていた頭部球形super-swan-kaiは中低域が「ボーボー」すごい変な音になってしまいました。
そこで頭部を90°内側に向けて中低域を下げ、できたスペースに 3D-Elbowを置くことが可能に。(笑)
まず、中高音の透明感は、6N-FE88ESならでは、ですね。 FE108EΣも結構良い中高音だったのですが、それよりもずっと鮮度が高いです。 そしてダクトから放射される中域のおかげで、中域?中低域に繋がる部分も、しっかり出ており、音色も統一されていてギターの中域や女性ボーカルの低域が細 くなりません。 (super-swan-kaiではここが少し細い感じがあった。) テナー音域のROCKAPERAの「オリビア」を聞くと、息遣いや 発音のこまかな表情までわかって最高に引き込まれます。
そして中低域?低域にかけてですが、部屋の特性も手伝って、しっかり出ています。 が、学習機の時に比べると、ややホーン臭さがあります。 若干無理し て出しているような音質でしょうか。 それでもこれだけのクセのある部屋でこの程度のホーン臭さで鳴るのですから、素性の良い3D-スパイラルのお かげということが言えると思います。 もちろんスケール感ではsuper-swanに敵いませんが、逆にいえばそれだけ音像がコンパクトにまとまっている ことの裏返しの部分もあると言えます。
また、よく聞き込むと、ピアノ中域などで若干の干渉歪みが聞き取れます。 ただ、四角い箱で作った場合などの定在波のそれとは違って聞こ えますので、インス トールの問題かもしれません。 また、今回のらせんにすきまテープを使用したため、そこに塗布したエポキシ接着剤自体が振動しているようにも思います。
このスピーカーで聞いていると聞き疲れしないし、本当にFE108EΣのsuper-swan-kaiは要らないですね。 結局、super-swan -kaiのユニットは古い6N-FE108Superに(2本ともコーン紙が損傷していますが)交換してしまいました。 こちらの方が中高音が張ってボー カルの色気があったし、低音もボンつかずに出てくれたからです。 FE108EΣ+super-swan-kaiは、繊細さでは3D-ELBOWに敵わな いし、バランスも崩れて、しばらくはお蔵入りです。
今後は3D-ELBOWをメインにし、時々super-swan-kaiでスケール感のある音楽を聞こうと思います。
最後になりましたが、このようなすばらしい方式を発明していただけました、T氏には深く敬意を表しますとともに、感謝いたします。 あり がとうございました。 そして、今後もいろいろアドバイスをお願いいたします。
- Qの低さによる低域不足を補えるだけのダクト断面積の確保
- 更にFE88ES-Rを使って「3D-ELBOW-R」を製作(05/11/14)
3D-ELBOWの可能性を更に追求するため、新たに念願の限定ユニット「FE88ES-R」を購入し、「3D-ELBOW-R」を製作しまし た。 このユニットは8.5cmと少々大きめになっており、マグネットも584gと強力。 スパイラルホーンとの相性を示すQ0値=0.46となってお り、 前作の3D-ELBOWの設計のままでは、低音が出すぎる傾向になると考え、若干空気室容量を大きく(3.3L&→3.8L)、スロート断面積を小さ く(22cm2&→16cm2:夫々1条分)。
その分バスレフとして見たときのダクト共振周波数計算値Fdが低く(75Hz&→56Hz)となりました。
本家HPにて、同じFE88ES-Rを使用した「H-88」という水平モデルタイプが紹介されていまして、このF特を参考に、上記のよう に「えいやっ」で決めました。 実際のスロート断面積は2条分なので2倍とれますから、「H-88」よりもホーン効果が上がって中低域もフラットに近づく と考えました。
また今回は、前回いまいちだったすきまテープ法を見送り、オーソドックスなキャプタイヤ法にタッピングビスによるガイドを90°毎に付け て巻き上げました。 これでも出口開口部付近は引っ張られて形がいびつになってしまいました。 また、パイプに挿入するときに、1本目はうまくいったので すが、2本目でスパイラルの外形が大きすぎることに気づかず、エポキシが硬化する前に作業を終えなければならなかったため、無理やり挿入してスパイラルの 途中が円周中央付近で外れてしまいました。 音の方はあまり違いがわかりませんが(笑)。
この失敗で気づいたのですが、2条スパイラルは外径精度を高く作らないと、パイプに挿入するのがとても困難です。 通常の1条スパイラルであれば、少々 大きめなスパイラルであっても、「ぐりぐりっ」とこじりながら押し込んでゆくことが出来ます (作ったことのある人でないと分かり辛いですが・・)。 で も2条スパイラルは、ぐりぐりやろうとしても、反対側にも同じ位置にスパイラルがあるので、それが出来ないのです。
また、これだけ「平べったい」スパイラルですと、巻き上げる時に一気にやることができません。 途中まで(大体、4?5本くらい)ケーブ ル巻いたら、一旦、この写真のように片側面だけにエポキシを塗って固めて、次の2?3本を巻く、という繰り返しで巻き上げるのは、成功の秘訣です。
結果、低域は割りとゆったりと出てくる感じです。 十分に低いほうに伸びていますが、それでも中低域が薄くなった感じはありま せん。 ショートホーンの効果を狙った結果は正解でした。
中高域で少し筒内共鳴音のような音が聞こえますが、これは吸音材で対処できるレベルです。 ユニットの特性で、高域は大変よく伸びてお り、尚且つフルレ ンジとは思えないきめの細かさで鳴ってくれます。 若干硬めの高音で弦を聞くと少々きつく感じるときもありますが、エージングで馴染んでくると思います。
何よりも、フルレンジでこれだけ良く纏まった音のスピーカーは、未だかつて製作したことはありません。 これで完全に、Super- Swan-Kaiを 土俵際に追い込みました。 このまま押し出せるか・・ (笑)
05/11/26 wrote: その後、100Hzから上あたりの中低域がやはり薄く感じてきたので、Akkieさんのページを参考にして、空気室容量を減らして見まし た。 最初に0.4Lくらいの本を入れてみたところ、中低域が聴感上3dbくらい上がってきた感じで、 ウッドベースの弦の弾く時の音がより鮮明になりま した。 ただし、本は中高音も妙に吸ってしまうようで音の鮮度が減退したように感じ、 次はスパイラルに使ったキャプタイヤケーブルを丸めて入れてみまし た。 これで容量は3.5Lくらいになったと思います。
05/11/28 wrote: 音量を上げていったとき、ピアノの強い中域入力が入ったときなど、内部定在波により エンクロージャが盛大に鳴っていることが判明。 9.5mm圧のエンビでもパイプ形状のため振動し難いはずですが・・ 制振材として空気室内面の全域に、ブチルゴムテープで3mm厚のネオプレンゴムを貼 り付け、箱鳴りは半減しました。 このため容量が減るので、↑のキャプタイヤケーブルは除去しました。
また、より低音の明瞭性をアップするため、ホーン出口でエンハンサーを置きました。 低音が後ろへ回り込むのを邪魔するものです。 (そ の 分、中高音の漏れも強調されるため、吸音材を少し置きました) これは位置を動かせるので、セッティングによって調整が可能です 。
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次 期スピーカーの構想
3D-スパイラルのダクトから出てくる中域がきれいな特性を利用し、完全な点音源をめざして、↓ のような設計をしてみました。 名づけて「3D-Dragon」です。 空 気室をVP125を使用して、その外径を内管として同心円上に配置したVP200を外管の間に、スパイラルダクトを2条で配置します。 2条がフルレンジ ユニットの対角上にあれば、そこから放射される中域・低域も仮想的にユニット軸上に聞こえるはずです
問題は、このレイアウトだとスパイラルの径が大きすぎて、音道が1条巻けないということです。 こうなると、スパイラルダクトの音質上の メリット(広い ダクト放射特性、きれいな中域)が出なくて、単にバスレフダクトとしてしか機能してこないような気もしています。
まあ、これも実験で作ってみないことにはわかりません。 ユニットは「FE88ES-R」を購入 して使用予定です
現状のシステム構成
CD Player | DENON DCD-1515AL |
Tuner | SONY ST-S500 |
AMP | MARANTZ PM-14SA ver.2 |
Speaker (main) |
Fostex 6N-FE88ES + 3D-ELBOW (by 3D-Spiral) & Fostex FE88ES-R + 3D-ELBOW-R (by 3D-Spiral) |
Speaker (sub) |
Fostex 6N-FE108-Super + Super-Swan-kai |
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