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1999/1/24〜

省燃費サイクル
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別紙

1.GDIエンジンの空燃比変化(予想)の内容について

 沖野様の調査結果にもありますとおり、GDIエンジンのリーン運転には超リーン領域と通常燃焼リーンの2つの領域があります。超リーン運転領域はギャラン(5速マニュアル車)で120km/h以下の一定速度運転時をカバーするように設定しています(軸トルクでのおよそ50%、回転方向は3500rpm付近まで)。これに対し、通常燃焼リーン領域は、超リーン領域より高負荷側にあり、140km/hぐらいまでカバーしています。しかしながら、ご指摘の通り、加速時にはスムーズな加速感が得られる様、アクセルの開動作と同時にリーン運転を禁止しています。本来、ドライバーの意志を予測できれば、加速が緩加速なのか急加速なのかを判断して、リーンを続けることも可能ですが、実際にはリーンを続けるとドライバーに違和感を与えるため、アクセル開と同時にリーンをやめる制御になっています。さらに、アクセル開度と軸トルクには、図1のような関係があり、また低回転域では、現実としてアクセル開度が小さくても、エンジン側から見ればかなりの高トルク領域のほぼ全開走行になる為、あたかも低回転域の一定速度走行以外では超リーン領域が無くなるような錯覚を与えます。ご指摘の町中走行では2100rpm以下の極低負荷しかリーンにならないとの現象は、この為と考えます。なお、沖野様ホームページのアクセル開度と負圧の関係図は図1より、低回転域では非常に小さなアクセル開度でも、エンジンの軸トルクでは全開近くになり、1500rpm付近での全開相当のアクセル開度は約20%、3000rpmでもアクセル開度35%となることから、2100rpm以下の図が25%でほぼ全開、2100〜3500rpmのものが40%でほぼ全開になるように横方向に圧縮した図2のようになるかと思います。

 次に、アクセル開度と負圧変化から推定した沖野様の各モードの説明ですが、1及び2:低〜中負荷域(〜120km/h)は、超リーン領域で空燃比が40から25の領域です。マニュアル車の一定速度運転では120km/hまでの走行が可能ですが、エアコン、乗車人数などの条件により変わってくるのはご指摘通りです。しかし、60km/h程度の車速であれば、運転の仕方によって若干の勾配までこの超リーンで走行可能です。この状況のエンジンでの燃費向上効果は20から30%です。
3の高負荷域(120km/h〜140km/h)は、通常燃焼リーンの領域です。マニュアル車の一定速度運転では140km/h位までカバーしています。空燃比は16〜22で、エンジンによる燃費向上率は5から10%です。この領域は1800rpm以下にはありません。
4の高負荷〜全開域(140km/h以上)は、通常燃焼ストイキ運転からリッチ運転の領域です。これらの領域では、高圧縮比化による熱効率向上分のみがエンジンからの燃費向上効果になり、約5%になります。

2.2100rpm以下では極低負荷域しかリーンバーンにならない。レギュラーとプレミアムの関係は?

 リーンバーン領域については1項でもご説明済みであり、詳細は省かせて頂きますが、リーン領域には、通常燃焼リーンが含められています。現実の超リーン領域は軸トルクではおよそ50%以下、エンジン回転では3500rpm以下の領域となります。(この領域がアクセル開度でみると小さいと言われればそのとおりかもしれません。エンジンの負荷レベルで見ると出力の半分であり、120km/hをカバーできる領域になっています。当社調査ですが、他社製ガソリン直噴エンジンに比べ、この領域はGDIがもっとも広いことが判っています)。また、この超リーン運転領域では、レギュラーガソリンを使用しても、ノッキング等は発生せず、点火時期をベスト設定できるため、出力、燃費ともに変化しません。ただし、その他の領域では出力は低下する為、加減速の多い走行条件では走行性能や燃費に影響が出ます。

3.このような特性では10・15モード燃費は達成できない。

 10・15モード排ガス試験は国の法律である排出ガス規制適合判定のための試験であり、生産車と異なる仕様での試験は出来ません。したがいまして審査でも同様のプログラムを使用しています。また、ご存知とは思いますが、10・15モードの運転パターンは加速、一定速度走行、減速、アイドルの繰り返しであり、走行機能以外の装備品(エアコン・ヘッドライト・デフォッガ等のエンジン負荷となる電装品)は全てOFFでの試験となっています。GDIではこの運転パターン中の加速を除く部分を超リーンモードで運転します(現状で加速中にリーンにすることはNOx増加の問題もあり、不可能です)。一定速走行・アイドリング等安定した運転状況下での超リーンによるエンジンでの燃費の改善効果は20〜30%前後ですが、この他にアイドル回転の低回転化、燃料カット回転の低回転化に加え、タイヤの転がり抵抗の改良やギヤ比の最適化などを加え、モード運転ではこの高い燃費を実現しています。

4.誇大広告では

 上記でも一部ご説明致しましたとり。10・15モードはあくまでも排出ガス試験の結果としての燃費であり、燃費値を相対比較するためのデータとして表示が義務づけられています。 ご指摘の通り10・15モード走行燃費と実走行の燃費の間に大きな差があることは事実で、特に、都市部でのゴーアンドストップの運転パターンでは、(加速判定でリーンをやめる制御が影響して)運転方法の差が大きな燃費の差となって現れることが判っています。この点につきましては、 GDIの真の良さを広く理解していただくため、GDIエコドライブキャンペーンなどエコ運転の啓発活動も進めていますが、技術的には、今後の新型車に向けて、その差が極力小さくなるように加速判定の高精度化や超リーン運転領域の拡大等更に改良を続けていく所存です。

最後に、カーグラフィック誌の燃費に関する記事につきましては、一部測定方法、試験方法に問題があると推定されるため、下記のようにコメントしていますのでご紹介しておきます。
【カーグラフィック誌の燃費関連記事要約】
・リーンバーンになるのは極低負荷だけで,60km/h定地走行でもリーンにならない。
【弊社コメント】
 シャシーダイナモによる試験で実走行を模擬するためには走行抵抗の正確な設定が不可欠。シャシーダイナモに載せてローラー軸のトルクを計測する手法をとった場合,60km/hでもリーンにならなかった原因としては以下が考えらる。
雑誌掲載写真の2ローラータイプ シャシーダイナモはローラ径が小さくタイヤ変形  量が大きくなる為、ころがり抵抗が大きくなる傾向にある。前輪の走行抵抗を平坦路  走行と同じにするには、空気圧を高目に設定する必要がある。
シャシーダイナモ上で前輪の走行抵抗が平坦路と同じだったとして、更に付加すべき  走行抵抗は空気抵抗と後輪の走行抵抗分のみ。60km/h時の空気抵抗である約10kgと後  輪の走行抵抗を加えた力が必要な付加力となる。これらを考慮すると、シャシーダイナモ駆動力12kg以下でリーンバーンになったという試験結果は,標準タイヤ装着時の  平坦路60km/h実走行でもリーンバーンになり得ることを意味すると解釈できる。
205/55R16のタイヤのままで試験されたのなら,平坦路でもころがり抵抗係数が38%ほど大きくなっているはず。    当社計測値
   正規185/70R14の場合 0.0066
   CG車装着205/55R16の場合 0.0091

 なお,実走行で超リーン運転可能車速を計測した結果は次の通り。
   正規185/70R14の場合  110km/h以下
   CG車装着205/55R16の場合  100km/h以下

以上

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